世界脳週間2025 玉川大学中高生脳科学教室

日 時 2025年11月30日(日)9:00~13:00
会 場 玉川大学 Human Brain Science Hall(ハイブリッド開催)
主 催 玉川大学脳科学研究所 / NPO法人 脳の世紀推進会議
代表者 松元 健二
問い合せ 玉川大学脳科学研究所 奥村 哲/ bc.event[at]tamagawa.ac.jp

プログラム

9:00~9:05 脳科学研究所長挨拶
9:05~10:00 全体講演
「脳の非線形性と心の病:シナプスのほんの小さな変化が心を揺さぶる理由」
林(高木)朗子先生
(理化学研究所脳神経科学研究センター・チームディレクター)
専門は神経科学、精神医学)、主な受賞歴:(日本生物学的精神医学会・学術賞(2010),日本神経科学・奨励賞(2015)など
10:00~12:30 体験コース(オンライン2テーマ、対面5テーマから選択受講)
  1. 考えることと考えないこと-脳にある2つの意思決定システム-(オンライン)
  2. 神経活動から動物の行動を予測する-行動変容生物学入門-(オンライン)
  3. ヒトの脳の電気活動(脳波)をみてみよう-(対面)
  4. 脳 MRI 実験実習(対面)
  5. Human-AI Interaction ― インタラクション技術と設計 ―(対面)
  6. 生体電気信号を読み取ってロボットを操作しよう(対面)
  7. ロボットの「脳」を体感する ―VR 空間でのロボット操作体験―(対面)
12:30~12:50 各コースの発表および講評
12:50~13:00 アンケートフォーム記入後に解散

参加者数

体験学習まで参加した実数は33名(昨年度は51名:申込者は52名と例年並みだったが、今年はインフルエンザ流行と当日朝の鉄道事故で欠席が多かった)、その他に全体講演のみのオンライン参加者が9名(昨年は21名)。男女比は概ね男性:女性=2:3で女性が多い。

参加者(括弧内は申込み数)

  • オンライン 18名  (29名)
  • 対面  15名  (27名)
  • 申込み自体は昨年と、ほぼ変わらないが今年はインフルエンザ流行と当日の私鉄事故による欠席者がとても多かった。
  • 出席者の学年は、中3~高2がボリュームゾーンで特に高校2年生が多い。

申込者の学年

何回目の参加か?

男女比

  • 参加者の基本属性 参加者の84%が初参加で、新規層へのリーチには成功。
  • 初回の参加者、女性の参加者が多かった。この傾向は続いている

イベントの概要

本年の「中高生脳科学教室」では、開会挨拶に続き、林(高木)朗子先生が「脳の非線形性と心の病」と題した講演を行った。講演では脳科学の基礎が美しい写真やご自身のデータをもとに平易に説明された。ニューロンの非線形な振る舞いから、さまざまな心の状態の変化が説明しうるという点は、高校生には新鮮な視点であったようで、質疑応答でも刺激的な議論が交わされた。その後、参加者は7つの体験コースに分かれてオンラインと対面のどちらかで体験実習を行い、その後各コースの成果発表が行われ、講師陣によるまとめと修了証授与を経て閉会した。

参加者の反応

参加者からは「非常に楽しかった」「貴重な経験になった」との声が多く寄せられた。自分の脳のMRI像の撮像や、実験や講義を通して脳科学への興味が一層深まっただけでなく、研究者との交流や、専門的な内容をわかりやすく学べたことに感動する意見が目立った。オンラインで地方から参加できたことを喜ぶ強い声もあったが、オンラインでも施設紹介をして欲しいとの意見もあった。次年度の参加を希望する声は多く、進路選択の参考になったという意見もあった。

満足度(5段階評価)

質問 平均
楽しかったか 4.6(4.54)/ 5
意義深さ 4.5 (4.63)/ 5
また参加したいか 4.7 (4.53)/5
(括弧内は前回)
  • 非常に高い満足度
  • ほとんどが 4〜5、3 名だけ 2〜3評価
  • 昨年と、ほぼ変わらないが(意義深かった)がやや減り、(また参加したいが)増えた

参加の決め手は?(複数回答)

  • 主な動機は分野そのものへの興味や、研究者との対話、進路の参考だった

どうやってこのイベントを知ったか?

  • 勧めてくださった先生の多くもチラシで知ったと考えられる。今後ネット宣伝は強化するが、現状ではチラシの送付も重要

脳研を知っていたか?

研究科を知っていたか?

  • 研究所・研究科の認知度は依然と低く、このようなイベントを通してさらに高めることが重要。その中で、脳科学研究所の認知度は、15% > 37% と興味がある層には大幅に増えた

自由記述コメントのまとめ(主なもの)

ポジティブコメント(多数)

  • MRIで自分の脳を見られて印象的だった
  • 実験設備や模型が見られて楽しかった
  • 研究者の話がわかりやすく興味が深まった
  • 普段学校では習わない内容ばかりで刺激的
  • 国際的な脳科学・精神医学への関心が高まった
  • 脳科学という学問のイメージが具体化した
  • Python など研究に使うツールが見られて良かった
  • 来年も参加したい

本物の研究者や現場に触れられる点が圧倒的に評価

改善要望

  • オンラインのみのコースでは施設が見られず残念
  • オンライン参加可能なコースをより増やしてほしい
  • 専門用語が難しい部分もあった(高校生でもやや難易度高め)

→ 対策(今後の検討点)

  • オンライン用の別途施設紹介動画
  • 難易度調整または補足資料の拡充などが考えられる

開催者の総括

ハイブリッド開催としたことで、地方都市在住の中高生20名弱の熱心な参加に繋がった。主催者としては技術的な苦労もあるが、地方の参加者からも質疑応答で「脳についての形態学的な研究からどのように仕組みや機能をしることができるのか?」などの本質的な質問もあり、首都圏のアカデミアも、地方の高校生が参加できる機会を増やしていくことの重要性を再確認した。次年度以降も、アンケート結果も参考にしながら開催したいと考える。