世界脳週間2024 玉川大学中高生脳科学教室

日 時 2024年11月17日(日)9:00 ~ 13:00
会 場 玉川大学 Human Brain Science Hall(ハイブリッド開催)
主 催 玉川大学脳科学研究所
共 催 NPO法人 脳の世紀推進会議
代表者 坂上 雅道
問い合せ 玉川大学脳科学研究所 奥村 哲/ bc.event[at]tamagawa.ac.jp

プログラム

9:00~9:05 脳科学研究所長挨拶
9:05~10:00 全体講演
「心は存在しない」-不合理な「脳」の正体を科学でひもとく
毛内 拡
(お茶の水女子大学基幹研究院自然科学系・助教)
専門:神経生理学、生物物理学
主な受賞歴:第37回講談社科学出版賞、第33回日本バイオイメージング学会奨励賞など
10:00~12:30 体験コース(オンライン2テーマ、対面4テーマから選択受講)
  1. 考えることと考えないこと-脳にある2つの意思決定システム-(オンライン)
  2. 神経活動から動物の行動を予測する-行動変容生物学入門-(オンライン)
  3. ヒトの脳の電気活動(脳波)をみてみよう-(対面)
  4. 脳 MRI 実験実習(対面)
  5. AI と君の脳の意思決定を比べよう -強化学習と脳の決断-(対面)
  6. 生体電気信号を観察して活用しよう(対面)
12:30~12:50 各コースの発表および講評
12:50~13:00 アンケートフォーム記入後に解散

参加者数

体験学習まで参加した実数は51名(昨年度は41名)、その他に全体講演のみのオンライン参加者が21名(昨年は12名)。男女比は概ね男性:女性=1:4で女性の参加者の比率が昨年度の3:7よりさらに増えた。

イベントの概要

本年の「中高生脳科学教室」では、開会挨拶に続き、毛内拡先生が「心は存在しない」と題した講演を行った。講演では脳科学の基礎を平易に解説し、「自我」や「心」は神経活動パターンから生じるナラティブであり、客観的実体をもたないとの見方を示した。質疑応答では科学と哲学の立場の違いをめぐり刺激的な議論が交わされた。その後、参加者は6つの体験コースに分かれてオンラインと対面のどちらかで体験実習を行い、その後各コースの成果発表が行われ、講師陣によるまとめと修了証授与を経て閉会した。

参加者の反応

参加者からは「非常に楽しかった」「貴重な経験になった」との声が多く寄せられた。実験や講義を通して脳科学への興味が一層深まっただけでなく、研究者との交流や、専門的な内容をわかりやすく学べたことに感動する意見が目立った。心理学や行動経済学への関心から参加した人や、オンラインでも地方から参加できたことを喜ぶ声もあった。今後も参加を希望する声が多く、進路選択への影響を受けたとの意見もあった。

開催者の総括

ハイブリッド開催としたことで、地方都市在住の中高生20名弱の熱心な参加に繋がった。主催者としては技術的な苦労もあるが、地方の参加者からも質疑応答で「脳について考える上で、科学と哲学の立場の違いは本質的にはどこにあるのか?」などの本質的な質問もあり、首都圏のアカデミアも、地方の高校生が参加できる機会を増やしていくことの重要性を再確認した。次年度以降も、アンケート結果も参考にしながら開催したいと考える。