世界脳週間2025 奈良イベント 2025年度SSH サイエンス先端講座Ⅱ

日 時 2026年3月14日(土)13:30~16:00
会 場 奈良女子大学中等教育学校 総合教育棟2F 多目的ホール
奈良市東紀寺町1丁目60ー1
対 象 中・高校生、保護者、一般の方
参加費 無料
講 師 中野 珠実 先生(大阪大学大学院 情報科学研究科 教授)
講演タイトル 「自己と他者の脳内表現」
講演内容 ⼈間が社会の中で適切に⾏動するためには、他者の⼼や関係性の理解に加えて、⾃分⾃⾝をどう認識しているかが重要です。本講演では、脳科学・認知神経科学の研究をもとに、脳が「⾃⼰」と「他者」をどのように表象し、意識にのぼらないレベルでも社会的判断に利⽤しているのかを紹介します。⾃⼰と他者の脳内表現から、社会的認知を⽀える脳の仕組みに迫ります。
申込み 下記の専用フォームから事前に参加申込みください
https://forms.gle/KpKn8XrujLHTn2W5A
締 切 2026年2月28日(土)
主 催 奈良女子大学附属中等教育学校
共 催 NPO法人 脳の世紀推進会議
後 援 奈良県教育委員会
問合せ先 ah15122[at]cc.nara-wu.ac.jp

英文概要

Title of event SSH science advanced course
Type of event Lecture
Date/Time March 14, 2026 13:30~16:00
Location Nara Women’s University Secondary School, Multipurpose Hall
1-60-1 Higashikidera, Nara, Japan 630-8305
Audience students, parents, common people
Contact name Shunji Matsubara
Event organization and address Nara Women’s University Secondary School
1-60-1 Higashikidera, Nara, Japan 630-8305
TEL: +81 742 26 2571
FAX: +81 742 20 3660
ah15122[at]cc.nara-wu.ac.jp

プログラム

13:30 ~ 14:30 講演会
講演者:中野 珠実 先生(大阪大学 大学院情報科学研究科 教授)
講演タイトル:自己と他者の脳内表現
14:45 ~ 15:45 講演者との質疑応答

参加者数

中高生 36名
保護者・一般 18名
合計 54名

イベントを終えて

本講演「自己と他者の脳内表現」では、脳科学、認知科学がご専門の中野先生が、これまで研究されてきた内容について、具体例を示しながら中高生にもわかるように丁寧に説明していただきました。自分の顔の認知メカニズムに関する研究の話では、自分の顔(たとえ意識できないほど一瞬の提示であっても)を見ると、脳のドーパミン報酬系が自動的に駆動されることや、自分に似ている顔の人を信頼しやすいという心理現象について紹介がありました。また、写真アプリ等で「自分の顔」を過度に加工したくなるのは、この報酬系が働くことで「より良く見せたい」という欲求が強まるためであり、他人の顔を見る時とは異なる脳の仕組みが働いているとのことでした。少し専門的な知識を要する部分もありましたが、写真や動画を織り交ぜながらの研究紹介は、私たちが日常生活で抱く疑問を解消してくれる話題ばかりで、参加者もとても面白そうに話しを聞いていました。

後半の質疑応答では、生徒や保護者からの質問を中心に1時間にも及ぶ活発な意見交換ができました。講演内容についてだけでなく普段から疑問に思っていることなど様々な質問が出ましたが、中野先生は一つ一つの質問に丁寧に回答され、研究者としての考え方や姿勢も生徒たちに伝えてくださいました。中野先生ご自身が、研究において明らかにしたいことをどのような方法で調査し、どうすれば実証できるかというストーリーを紹介してくださり、研究の面白さや難しさを参加者全員で共有できました。

実施後のアンケートにも多数書かれていたように、参加生徒や保護者にとって、その研究分野の第一線でご活躍されている先生のお話を聞き、質疑応答を通して交流できたことは、大変良い刺激になったと思います。このような貴重な機会を与えてくださった皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。

生徒アンケート集計結果

参加生徒人数:36名

  1. 今回、この先端講座に参加したきっかけは何ですか。(もっとも適するもの1つに○を)
    ①おもしろそうだと思ったから(14名)
    ②友達が参加するから(1名)
    ③家族にすすめられたから(7名)
    ④先生にすすめられたから(14名)
    ⑤その他(0名)
  2. 参加してよかったですか。(もっとも適するもの1つに○を)
    ①とてもよかった(20名)
    ②よかった(14名)
    ③少しつまらなかった(1名)
    ④つまらなかった(0名)
    無回答1
  3. 内容は理解できましたか。(もっとも適するもの1つに○を)
    ①理解できた(8名)
    ②だいたい理解できた(23名)
    ③あまり理解できなかった(2名)
    ④理解できなかった(0名)
    無回答3
  4. どんなことに興味を持ち、何がわかりましたか。その内容を書いてください。
    • (中1女子)自分の顔を過度にレタッチすると、脳の他者を認知する部分が活発に活動することを知って驚きました。鏡を使って自分を認識することは2歳頃からできるようになることがわかりました。
    • (中3女子)意識にのぼらなくとも自分と他者を脳は判っているのが面白かった。自分と似た人の方が良く感じるが、自分は少し加工をした方が良く感じるのがわかった。寝ないように料理というテーマを選ぶのが実験の工夫につながっていると思った。人間は敵対かそうでないかで物事を判断しているのことがわかった。
    • (高2女子)実験をすればなんでもわかると思っていましたが、人間を対象にした実験だと複雑で様々なことに考慮して実験方法も考えられているのだなと思いました。
  5. 疑問に思ったことや、不思議に感じたことがありましたか。その内容を書いてください。
    • (中1男子)この講義により、自分が無意識に行っていると思っていたもの(例えばカクテルパーティー効果)も脳によるものだと知りました。だとすると「考えるより先に動いた」のような場合では、脳による変化はどのようになっているのか疑問に思いました。
    • (中2男子)今まで犬を飼っていて、犬は鏡にうつる自分を犬自身だと認知できていると思っていたが、そうではないと知って驚いた。
    • (中2女子)自分の顔を見たとき偏桃体は反応しないが、他者の顔を見たときは反応するとあったが、顔ではなく声の場合、偏桃体は同じように働くのか気になった。また、家族や友人の顔の場合は偏桃体はどのように働くのか。
  6. 参加して、どのようなことを考えましたか。感想や意見を書いてください。
    • (中1女子)もともと脳について全く考えたことがなかったので、今日の講座でどんな話を聞けるのか全くわかっていなかったけど、そんな私でも内容を理解することができて、とても面白かったです。
    • (中3男子)人間は自分か他者かを自動的にフィルタリングしているということを中心に自己認知についてお話をお聞きすることができておもしろかったです。
    • (高2女子)私は脳が好きでこの講座に申し込みました。好きとはいっても本を読むくらいで、現場で研究している先生に直接教えていただくことがなかったので、質問までできて、参加して良かったです。

保護者アンケート集計結果

参加保護者人数:18名

  1. 今回、この先端講座に参加したきっかけは何ですか。(もっとも適するもの1つに○をしてください)
    ①内容に興味があったから(14人)
    ②学校の様子がわかると思ったから(1人)
    ③子どもの様子がわかると思ったから(0人)
    ④子どもに誘われたから(1人)
    ⑤その他(2人)
  2. 参加してよかったですか。(もっとも適するもの1つに○をしてください)
    ①とてもよかった(13人)
    ②よかった(5人)
    ③少しつまらなかった(0人)
    ④つまらなかった(0人)
  3. この講座を受けた生徒たちは、内容を理解できたと思いますか。(もっとも適するもの1つに○を)
    ①理解できた(1人)
    ②だいたい理解できた(10人)
    ③あまり理解できなかった(2人)
    ④理解できなかった(0人)
    ⑤無回答(5人)
  4. 本日の先端講座について、感想や意見等を書いて下さい。                                       
    • (中1保護者)仕事上のことで脳的にどうなのか考える機会があり、話を聞きたいと思いました。また、子の成長や関りにおける脳の働きに興味があり、講演内容で新しく知ることが多く、とても良かったです。わかりやすいお話で、大変おもしろかったです。各質問にもていねいに答えてくださって、自分が考えていなかった部分のお話まで聞くことが出来てとても参考になりました。
    • (中1保護者)自己と他者というある意味心理学的・哲学的なテーマについて、脳科学的なアプローチの手法で解明を試みようとする研究の一端を知れたのでよかった。第一線の研究者が未来をになう中高生に直接その研究テーマについて語ってもらう好機だと思う。
    • (中2保護者)学校での講座に初めて参加しました。子どもの学校生活に少し関われている感じ、知らない知識を得られた事などが参加して良かったと思いました。人間関係は「誰と仲が良いか」よりも「誰と仲が悪いか」を軸に考えていく、という言葉がとても興味深かったです。
    • (中3保護者)自己意識が単なる「自分を考える力」ではなく、脳の情報処理としてはたらいている点がとても興味深く感じた。また、人間がなぜ自己に強く注意を向けるのかを理解する手がかりも分かった。自己意識を神経科学と認知科学の視点から考えるとても刺激的な内容でした。ありがとうございました。
    • (高1保護者)脳の研究を聞かせていただき、ありがとうございました。現代の盛りすぎた画像に違和感があったのは、なぜかよくわかりました。脳のしくみは私たち人間にとってとても重要な機能なので、もっと知りたいと思いました。また、自己と他者の脳内表現や、自分か他者か区別する脳の働きに興味をもちました。