脳の世紀推進会議設立にあたって

脳科学は、謎に満ちた新しい研究分野として注目されながら、そのアプローチの難しさのため長い準備期間をすごしてきたが、生命科学や情報科学などの発達により、人々の暮らしを根底からかえる21世紀を代表する科学分野として大きく飛躍しようとしている。米国をはじめ欧州においても、脳科学の重要性が認識され、脳科学分野の大型研究プロジェクトが組織され、世界的な競争が繰り広げられている。

我が国における脳科学の研究水準は世界的にも高いが、脳科学の進歩の速さ、その展開の多様さに対しては十分とはいえない。このままでは外国の後追いに終始し、独自に展開する機会は限られたものとなり、あっという間に水をあけられてしまう厳しい状況にある。今後、我が国の脳科学が格段に進歩し、21世紀の科学の中心となるためには大胆な研究施策を実施することが必要である。

我が国の脳科学研究の一段の発展を期するため、平成5年に脳関連の文部省重点領域研究の代表者が集まり、脳の世紀推進会議を組織し、任意団体として年1回「脳の世紀シンポジウム」の開催、脳の世紀ニュースの発行、世界脳週間の開催支援などの活動を行ってきた。

そのような実情のなかで、これまでの活動をさらに強力活発に押し進めるために特定非営利活動法人脳の世紀推進会議を設立することは、我が国の脳科学研究施策を実施する一助となり、その研究成果を広く国民の福祉への還元に貢献できると考え、申請に至ったものである。